潰瘍性大腸炎、クローン病の治療状況
現在、当院に来院既往のある上記炎症性腸疾患の患者さんは、潰瘍性大腸炎が103名、クローン病が9名です。(一部転院や中断を含む)治療はペンタサやサラゾピリンなどのサリチル酸製剤と栄養療法、免疫抑制剤、ステロイドなどですが、クローン病の場合、こうした従来の治療に抵抗性を示す、中等度以上の炎症例や外瘻を有する症例に対して、抗TNFα抗体(レミケード)の外来治療を積極的に取り入れています。特にクローン病の場合はひとたび難治化すると患者さんは絶食点滴による長期の入院治療を強いられるケースが少なからずみられ、著しく患者さんのQOLを低下させることになります。従来の治療で改善が見られないかあるいは、再燃した場合は機を逸することなくレミケードの投与を検討すべきです。当院でのレミケード著効例では、難治性痔瘻と横行結腸狭窄を呈した20歳、男性で従来ならば、入院を余儀なくされていたと思われるケースでしたが、レミケードの外来治療にて緩解期へ導入することができました。レミケードによる副作用は特に見られませんでした。